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17/02/17 その感性をどこで磨いていたのか?
友人と一緒に書店へ。
本を数冊購入し、会計へ、
店員がバーコードリーダーを操作し、裏表紙上段のバーコード二段を順に読み取り値段を提示。
私が本の代金と駐車カードを差し出し、お釣りと処理済みの駐車カードを受け取り車へ戻ろうとした時、
彼が、
「ちょっとそのレシートを見せて」
やや怪訝な表情であったであろう私が彼にレシートを手渡すと、
「これおかしいよ。同じ本の上巻・下巻の値段が違っている」
「全部でそんなに高い値段にならないと思ったし」
再度受け取ったレシートと本の定価を比べなおした。
「あれ、確かに違っている」
レシートに印字された本のタイトルと金額が、実際の本のものと違っている。
別の本の金額とすり替わっている。
「どうして?」
「あの店員さん、何度か同じ本のバーコードをなぞっていたよ」
よく細かいところまで観察していたものだ。
感心した。
再度店内へ。レシートと本を店員へ渡して、その件を説明。
「すいません。めったに起こらないことなんですが…」
の弁解と共に差額を手渡された。
正直、私にはレシートを見直す習慣は無い。
バーコードリーダーは正しいと信じ切っているから、信じ切っていたからだ。
電子機器に間違いはなくとも、それを操作する人間に間違いは起こり得る。コンピューターがプロ棋士に全勝する時代になっても。
コンピューターは信用しても、まだまだ人の操作は全て信用しない方が良さそうだ。
いや、それよりも彼の如く 「何か違うと感じる感性」 を磨いた方が良さそうだ。
12/2/13 彼女には研修医の情熱
過日、一人の男性がインフルエンザワクチン接種を目的に友人のクリニックを受診。
彼の奥さんが対応。奥さんも医師。
彼女は接種前問診票に目を通し、発熱、アレルギー等のないことを確認しながら、
「その他、具合の悪いところは無いですか?」と追加の問診。
男性は、
「少し胸が気持ち悪いけど。。。」
も、早くワクチンを打ってほしい様子。
「胸が?」
何かを感じた彼女は、診察し、その後、
「念のため心電図検査も行いましょう」と、
———————————————–
検査の結果、
急性心筋梗塞が判明。
早急の対応が必要。
救急病院へ搬送。
心臓カテーテル検査施行。
閉塞の冠動脈を再開通。拡張。ステント留置。成功。
短期間の入院後、退院。
———————————————–
という経過であったそうです。
ワクチン接種のみに終わっておれば早急な治療・改善は得られてはいなかったでしょう。
まるで、国家試験合格後の若い研修医の先生が、初めて患者さんを診察している(させていただいている)ような情景が浮かんできました。
患者さんを目の前に「何ごとも見逃さず、注意深く患者さんの話を聞き診察する」という若い研修医のような情熱を感じました。
そのような気持ちはずっと持っておきたい、持ち続けたいものです・・・
08/7/1 一日10万回
当院では心臓超音波検査(心エコー検査)を行っています。超音波を使い心臓の大きさ,弁の状態や心臓の動きなどを検査します。妊婦さんに行う胎児超音波検査の心臓版です。
その際当院では患者さんにご自身の心臓の超音波映像が見える姿勢をとってもらっています。ご自身の心臓の動きを見ていただきながら説明を加え検査を行っています。
その時によく「○○さんの心臓は頑張って動いていますよ。けなげに頑張って動いてくれています。生まれてから休まずに○○年間も動いて身体の隅々までに血液を送ってくれています。
心拍数を平均70回としますと,心臓は一分間に70回,一時間に4,200回,一日24時間で100,800回,おおよそ10万回動いています。動いてくれています。一カ月では3,024,000回。おおよそ3百万回です。
一年間ではなんと36,792,000回。おおよそ3千7百万回動いているのです。
そこに人生の年数をかけると10歳までには3億7千万回,20歳で7億4千万回,40歳で14億8千万回,80歳では29億6千万回,100歳では37億回です」と説明いたします。
そうしますと「心臓ってすごいですね。私の心臓は頑張っているのですね。心臓に感謝しないといけませんね」と言われる患者さんが多くいらっしゃいます。
私も本当にそのように思えます。けなげに働いていてくれる自分の心臓に「ありがとう」と言っても良いでしょうね。
06/11/13 治療目標と治療目標値
私はよく「病気に対する患者さんの治療目標と医師(私)の治療目標は一致しているだろうか?」と考えます。
一致しているのが一番いいのは確かです。
肺炎,扁桃腺炎,急性胃腸炎などの急性疾患の治療目標はおおむね一致しているでしょう。
「早く症状が改善して元通りの生活ができるようになること」です。
では治療が長期にわたる慢性疾患に関してはどうでしょうか?
治療目標は「健康な身体ですばらしい人生を送ること」だと思いますが,具体的な「治療目標値は?」となると医師-患者間で一致しないこともあります。
私の専門は内科・循環器で高血圧症の患者さんを多く診ています。
「高血圧症の治療目標は,高血圧に基づく合併症(脳卒中や脳梗塞などの脳疾患,心筋梗塞や狭心症などの心疾患,腎疾患,眼疾患など)を予防する」ことにあります。
血圧は多くの方で130/85mmHg未満を治療目標値として治療します。(年齢や糖尿病などで目標値は変わります)以前の降圧目標値に比べ最近はさらに低下しています。この降圧目標値は国内外を問わず数多くの医師の医学研究の結果から導き出された値です。
この目標値を示しますと「その値は自分には低すぎです.私は○○mmHgぐらいでいい」という方がおられます。
また「もうこれ以上薬は飲みたくありませんので私の降圧目標値は○○mmHgでいいです」といわれる方もおられます。
高血圧症の患者さんには自覚症が出ない方も多いですのでより強くそう思われるのかもしれません。またいろいろな思い・考えの患者さんがおられるのでそれはしかたがないことではあります。
診察中よく私は「高血圧症とその合併症は,タバコと肺癌との関係と同じです。ヘビースモーカーが必ず肺癌になるとは限りませんがタバコが肺癌の大きな原因であることは誰もが知っているところです。高血圧に関しても同じです。血圧が高い方がいろいろな合併症を引き起こしやすいのです。血圧を下げると言うことはその率を下げると言うことです」と説明します。
患者さんの考える治療目標値を医学的な治療目標値に近づけていただくには何度も説明して理解してもらうしかないと思っています。
06/08/16 熱中症
8月のこの時期暑い日が続くと思い出すことがあります。
私は3年前の平成15年7月5日に開業しました。もちろん開業は初めてであり勤務医時代と違って自分ですべきことも多くありました。いろいろととまどうことばかりでした。
その開院してまもない平成15年の8月21日12:53に調剤薬局の方に連れられて若いご夫婦が来院されました。(昼12時を過ぎていたので「どこか診てくれる病院か診療所を探しに」調剤薬局へ尋ねに入ったとのことでした)
その日は昼から休診の日でした。受付事務員も看護師もすでに帰宅した後でクリニックには私一人が残っていただけでした。
患者さんはそのご夫婦のご主人さんでした。来院時は一人で歩くのも困難な様子で奥さんにささえられていました。
「しんどいです、吐き気が続いています」
と直ぐに診察ベッドに横になりました。診察しますと血圧は124/70mmHgと正常なのですが脈拍は43/minと遅くなっていました。
「朝食はコーヒーとパンを少しだけ食べました。昼食もあまり食べたくないです。尿はあまり出ていません」
とのこと。彼はケーキ職人であり、
「ケーキの勉強のために8月18日から神戸などの有名店でケーキを食べ歩いていました」
その8月21日は確か
「大阪狭山市へ行った帰りです。これから栃木県へ帰る予定です」
とのことでした。
暑い日が続いていたときに十分な休憩もなく無理をして移動し、熱心に勉強した(ケーキを食べ歩いた)ことが関与した「熱中症」と診断し、点滴治療を行いました。
点滴後は脈拍も正常に戻り自分一人で歩けるようになりました。クリニックからの帰りは奥さんのささえもなくご自分一人で地下鉄なかもず駅へ歩いて行かれました。仕事熱心な研究熱心なあまりのでき事であったのでしょう。
翌朝栃木の自宅へ電話をかけました。自宅に帰っておられました。
「夜行バスで帰宅しました。大丈夫でした。今、体調は良いです」
と電話の向こうで元気そうでした。
最初の診察時は重症な印象でしたので私自身“ホッ”としました。
(電話番号をきちんと聞いておいて良かったです)
旅行中奥さんは何ともなかった様子でした。奥さんはケーキばかりを食べていたわけではなく普通の食事をしていたのでしょう。それともやはり「女性は強い」ということでしょうか。
皆さん、夏の暑い日にはくれぐれも熱中症、日射病にはご注意くださいませ。
06/02/20 ニューヨークへ転勤
先日、近くの会社の方が来院されました。
「ニューヨークへ転勤することになりました。6年間は過ごすことになるはずです。入国審査の時に薬の内容を問われるかもしれませんので薬の証明書を発行してほしい」と言われました。
「一般の薬は英語表記もしてあるのでほぼ大丈夫らしいのですが、私は漢方薬を飲んでいます。漢方薬には英語表記がありませんので持ち込みの時税関で診査されるかもしれません」とのこと。
その時は時間がなく証明書を日本語で書いてお渡しました。
彼はその証明書を見ながら、
「日本語で大丈夫でしょうか?何かあったらニューヨークですから日本語が分かる方を呼んでほしいと言えば良いでしょうか?」などと少し不安の様子でありました。
「やはり英語でないといけないかも」と思い、昼の休み時間にMedical certificateと英語で作成しなおしました。漢方薬の英訳が解りませんでした。辞書で調べると「Chinese medicine」でした。
会社へ連絡して取りに来ていただきました。
英語と言っても私の英語力は全く十分ではありません。パソコンで薬の薬品名を説明書からコピー&ペーストし、「以上の薬を処方したことを証明する・・・」などの内容を記入し、私のサインをしてでき上がりとしました。
「まあ何とか薬を内服していることは分かるでしょう」という程度のものです。
彼にとって海外勤務は期待が大きいのでしょうか不安が大きいのでしょうか?
私は留学経験や海外生活の経験がありませんので適切なアドバイスもできませんでした。旅行で行った海外は楽しかったですが・・・
書き方が適切かどうかは別にして「私が書いた証明書が海を渡ると」思えば楽しいものです。
本音は「うらやましい」と言う思いです。
この海外勤務が彼の人生で有意義な6年間となってほしいと思います。
05/06/21 車の車検
梅雨ですが雨は降らず暑いですね。ネッツトヨタいずみ南海へ行ってきました。対応していただいたのは女性整備士さんでした。
先日の日曜日に車で出かけた時。あるガソリンスタンドでガソリンを入れました。その日はそこの点検サービス週間中らしく給油だけでなくエンジンオイル、ブレーキオイル、タイヤの摩耗など(頼みもしないのに)いろいろと点検してくれました。
その結果もっともらしい点検結果のレポートを広げながら「エンジンオイルはOKです、ブレーキオイルもOKです、タイヤの摩耗もありません。しかしただ一つ問題が見つかりました。カーエアコンのガスとエアコンのコンプレッサーオイルが少なくなっています。緊急で補充の必要があります」と言うではないですか。しかもカーエアコンから取り外したとされる見慣れない単四電池サイズのフィルターらしき物を私に見せつけながらです。
カーエアコンの効き具合に全く問題はなく今までエアコンには何のトラブルもなかったため、納得できない物を感じた私は「この車は会社の車ですから勝手に修理はできません、今日はもう時間がないので今度にします」と告げそのガソリンスタンドを後にしました。
その2日後の火曜日の昼に時間ができたので、やはり気になり以前にサービスを受けた近くのネッツトヨタいずみ南海へ車を持って行きました。「カーエアコンに問題があるようなことを言われたので点検・整備してほしい」と。
対応していただいたのは長身のすらっとした女性整備士さんでした。「今はもう男性の整備士さんだけではないのだな」と思いつつ上記を説明して車を預けました。
車の点検中私はエアコンのよく効いた店内の椅子にゆったりと腰を落とし、出していただいたアイスコーヒーを飲みながらカーナビの新機種や新車のパンフレットなどを見てくつろいでいました。
おおよそ20分後にその女性整備士さんが来られて説明してくれました。「カーエアコンに問題はありません。エアコンのガスも十分入っています。またエアコンのコンプレッサーオイルも少なくはありません。もともとエアコンはガスでも抜けない限り殆ど整備は必要ない物です・・・・・・」「あとエンジン回りの点検もしておきました。エンジンオイルの量は大丈夫ですがやや変色していますのでそろそろ交換してください」と大変丁寧に詳しくしかも優しく言われました。
「あのガソリンスタンドの点検は何だったのだろう」と少し憤りを感じそうになりましたが、車が何ともなかったことと整備士さんのきっちりした対応・説明に十分満足したのですっかり気持ちは良くなりました。料金を支払おうとしましたら「点検しただけですから結構です」とのことでした。きっちりと点検してもらった上にコーヒーまでいただいて帰って来ました。質の良いサービスを受けたと感じました。
病院、診療所は「医療サービス」を提供する所です。当院も「質の良い医療サービス」の提供を心がけたいと思いました。
05/03/28 結婚式に・・・
結婚式に招待されました。久しぶりの結婚式、披露宴への出席でした。
私は新婦側の来賓としてスピーチをすることになりました。かなり前から内容を考えていたのですが、いざ話すとなるとやはり緊張してしまい考えていたことの2-3カ所は忘れてしまいました。
良い結婚式でした。私はその日、新郎に初めて会ったのですが新郎の第一印象が良く、また新郎が披露宴の初めに「皆さんどうぞごゆっくり楽しい時を過ごしてください」と挨拶されたのが場の雰囲気をグッと和やかなものに変え、より良い披露宴であったと感じました。
新郎側の友人は体育会系の乗りで場を盛り上げておられましたが、新婦からご両親への手紙が読まれる段になるとやはり主役は花嫁だと思えました。それまでにぎやかだった会場も静かになり新婦の手紙を読む声だけになりました。両親への感謝の思いは常日頃からいろいろと考えていてもあのような改まった場所でないと口には出せないものです。そのことを聞くのはこちらも少し気恥ずかしいですが、新婦の両親に対する思いが伝わってきて心温まる思いがしました。そしてその御家族により親しみを感じました。
当日昼は天気が良かったのですが、夕には雪が降りました。披露宴の各テーブルに新郎新婦へ贈るメッセージカードがあり、そのカードに「今日は良い天気になり・・・」と書いたのですが、天候が変わったのも印象深くそれも二人にとっては忘れられない思い出になるのでしょう。
私はいつも「結婚式・披露宴は新郎新婦だけのものではない」と感じます。もちろん家族、親類、友人、先輩、後輩、上司、部下の人など多くの方が関係しています。そして式を通じて多くの方と知り合いなることができる出会いがあると思います。
華やいだ場所・感動を覚える場所に出席することは日々の生活に刺激を与えてくれます。
今度結婚式に招待されるのはいつでしょう?
お二人末永くお幸せに。
05/02/15 インフルエンザと修士論文
おそらく中国からの留学生であろう女子学生さんが受診されました。日本語は大変すぐれており、会話に全く支障はありませんでした。
「風邪を引いたようです。でも修士論文の提出期限が迫っているので重くならないうちに治したい」とのことでした。
初診時の症状は風邪症状のみでいわゆる風邪薬を処方しました。しかしその2日後に高熱が出現し再受診されました。インフルエンザでありました。
食事もあまりとれておらず点滴を必要としました。
診察時の会話は「どなたか世話をしてくれる人はいませんか?」
「誰もいません。友人や先輩にもインフルエンザをうつすといけませんので、看病は頼めません」
「担当教官に掛け合って、論文の提出期限を延ばしてもらうことはできませんか?」
「自己管理がなってないから、インフルエンザにかかってしまったのです。そのような申し出はできません」というものでした。
お若いのにしっかりしておられました。点滴の後インフルエンザの薬を処方いたしました。
その翌日、再び高熱が出たとのことで連絡がありました。食事はあまり摂れてない様子でした。おそらく休養も十分にとらずに論文を書いていた様子です。受診していただき再度点滴を行いました。
その時彼女は「点滴は座ってできませんか?」と聞かれました。
時々「ベッドに横になっての点滴はしんどい」という方がおられます。彼女もそうかと思い、「椅子に座っての点滴の方が楽ですか?」と聞くと「寝ている方が楽ですが、明日提出の論文の校正をしたい」と言うではないですか。その日は休日であったので彼女に空いている診察室の机と椅子を提供しました。彼女は左手に点滴をしながらまた咳もしながら2診の机に向かってペンを走らせていました。それも日本語の文献ばかりを広げながらでありました。
後日の診察時には「翌日には無事論文を提出できた」とのことでした。
当院でも今まで何人か留学生の方を診察しましたがその殆どの学生さんは勉強熱心であり、質素であるが上品でありかつ清潔感のある学生さんばかりでした。彼女も無事修士課程を卒業されることを祈りたい。
それにしても初診時の症状はインフルエンザの前駆症状であったということでした。また反省である。
05/01/12 おばあちゃん
おばちゃんが亡くなりました。私のおばあちゃんではなくある患者さんです。80歳の方でした。通夜に行ってきました。棺の中には穏やかなお顔のおばあちゃんが眠っていました。
私は仕事上では「おばあちゃん」とは呼ばないようにしているのですが長い間診させていただき親しくなると身内の様な感じになりおばあちゃんと呼んでしまうことがあります。
病院勤務の時に一時期主治医となり私が開業してからは当院へも通院していただいた患者さんでした。平成16年2月に様態が悪化して再入院となり、以降は長らく入院されておりました。平成16年7月末に一旦退院し自宅療養となりましたが直ぐに再入院されました。ご家族の方も渾身の看病をしておられました。
おばあちゃんは私がお見舞いに行くと「ありがたい」と言って私を拝んでくれました。そのたびに私は「拝んでいただくほどの診療をしてきただろうか?」と恥じ入るばかりでした。お見舞いに行っては手を握って帰ってくるだけでした。
一昔なら患者さんが医者を拝む姿は結構見られておりましたし、そのような話も聞きました。しかし今は医者の権威も下がってきている?ようで、医者を神様のように思っている患者さんは少ないでしょう。また我々も(少なくとも私が信頼している医者は)「医者-患者関係は対等である」と思っています。
今は診療所勤務ですので患者さんの死に直接かかわることは少なくなりましたが、今まで身近におられた方が亡くなるのは辛いです。さぞかしご家族は辛い思いをされていることだと思います。おばちゃんは家族の方と平成15年の夏に北海道へ旅行されました。そのことを楽しそう話していただいたのが思い起こされます。
私が関わった方が亡くなった時はいつも反省です。
「もっと何かできたのでは?」と。
そしてしばらく経った後に浮かんでくる答えはいつも「これからは、これからも、毎日毎日できることを精一杯する」ということです。
おばあちゃんのご冥福を心よりお祈りいたします。
04/11/22 指の怪我
先日当クリニックビル管理の方に連れられて若い女性が受診されました。
「料理中に包丁で指を怪我した」とのことです。
左人差し指から出血しておりその女性は青ざめていました。
傷は見た目より深く消毒だけでは不十分で縫合が必要に思いましたのですぐ近くの外科医院を受診するように伝えました。
しかし女性はふらついていましたしその場所もよくわかない様子で、一人では外科医院までは行けそうにありませんでした。
看護師に応急処置を指示し当院の受付さんにその外科医院まで一緒について行ってもらいました。
結局指の傷は何針か縫ったとのことでした。
後で受付さんから聞いたところ、外科医院へ行く途中の話で「結婚と同時に当地へ引っ越してきてまだ一週間です」とのことでした。
また自分の傷を心配するより「どれくらいで良くなるのでしょうか?心配です。結婚してまだ一週間しか経ってないのに夫にご飯を作ってあげることができないのは申し訳ない」と話されたと言うのです。何と可愛らしいお嫁さんでしょうか。
そしてその日のうちにその女性がわざわざ当院へ御礼に着てくれました。
私は何もしていないのですが、受付さんに一緒に外科医院まで連れて行ってもらったのが有り難かったようです。
早く傷が治って美味しいお料理を旦那さんに作ってあげてくださいね。
04/10/15 金剛山登山
この夏金剛山へ3回登りました。登ったといっても(子供を連れてなので)車でロープウェイ乗り場まで行きロープウェイで山頂付近まで上がっただけです。
案内には「全長1,323m、標高は千早駅が708m、金剛山駅が975m、高低差267mの空中散歩。晴れた日には、関西国際空港や明石大橋も見えます」と記してあります。
運転速度は5m/秒としてあるので片道約265秒(4分25秒)の空中散歩です。
5m/秒の速度は結構速く、ロープウェイが動き出すとまたたく間に千早駅が小さくなっていきます。
ロープウェイは日曜日は15分間隔で運行しており、最終は18時ということなので利用するには待ち時間も少なく結構便利です。
7月に登った時は山頂には霧がかかっており、おそらく24度くらいしかありませんでした。
半袖で行ったものですからとても肌寒く、15分ばかり山頂のロープウェイ乗り場を散策しただけで早々に下山しました。
8月の2回目、9月初めの3回目は防寒対策をして登りましたが、天候はよく半袖でも十分でした。
展望台から南西を眺めると関西国際空港がぼんやりと確認できました。
山頂には宿泊施設もあり、バーベキューセット・テント・寝袋などを持ち込んでロープウェイに乗ってくる人々もいます。
全くの軽装でペットと共に来ていた人やベビーカーを押して来ていた家族、小学生くらいの子供とバイクで来ていた人もいました。ただし駐車場からロープウェイ乗り場までは200mほど急な坂道がありベビーカーを押していくのは大変で危険です。ベビーカーは担いで行くしかありません。
山頂の所々では携帯電話も通話可能です。
山はもちろん木々でいっぱいです。空気も澄んでいて近く遠くの緑は眼にやさしく日々の生活からの開放感が得られ、いなかで育った私には郷愁を覚えほっとさせられる場所でした。
帰りのロープウェイが中継所を過ぎる時、ケーブルのたわみが強くゴンドラが急に下降するので少し「ひやっ」とします。そしてロープウェイが千早駅に着いてドアが開いた瞬間に地上界の熱気がゴンドラ内に入ってきてしばしの休息も終わったと感じてしまいます。
金剛山から自宅に帰る途中、千早赤阪村から大阪市内へ近づくにつれて交通量は増え、エアコンをつけていても車外の温度が上昇してくるのが感じられます。特にこの夏、金剛山に登った日は3回とも暑かったです。
冬は霧氷が美しいそうです。ゴルフで痛めた両膝が完治すれば冬の金剛山にもトライしてみたいです。
04/07/09 医者という仕事
手塚治虫の「ブラックジャック」という漫画をご存知の方は多いでしょう。
その中で、孤高の天才外科医ブラックジャックは
「人間は誰でも素晴らしい人生を送る権利を持って生まれてくる。病気によってその権利を奪われてはならない。 医者は病気を治すことによって、その人の人生を変えない為に、またはその人の人生をさらに良いように変えるが為に仕事をする」
という内容のくだりがあったように記憶しています。医師になり立ての頃は、医者の仕事は特にそのようなものだと考えていました。
しかし、仕事を始めて数年後からは「医者でなくとも仕事をする人は全て」がそのように思っているのではないだろうかと思うようになりました。「その人の人生を変えない為にまたはその人の人生をさらに良いように変えるが為に仕事をする」のだと。(その人)というのはもちろん患者さんのことだけではありません。自分の周りの人々や多くの他人ということになるのでしょう。