2005/01/12
おばちゃんが亡くなりました。私のおばあちゃんではなくある患者さんです。80歳の方でした。通夜に行ってきました。棺の中には穏やかなお顔のおばあちゃんが眠っていました。
私は仕事上では「おばあちゃん」とは呼ばないようにしているのですが長い間診させていただき親しくなると身内の様な感じになりおばあちゃんと呼んでしまうことがあります。
病院勤務の時に一時期主治医となり私が開業してからは当院へも通院していただいた患者さんでした。平成16年2月に様態が悪化して再入院となり、以降は長らく入院されておりました。平成16年7月末に一旦退院し自宅療養となりましたが直ぐに再入院されました。ご家族の方も渾身の看病をしておられました。
おばあちゃんは私がお見舞いに行くと「ありがたい」と言って私を拝んでくれました。そのたびに私は「拝んでいただくほどの診療をしてきただろうか?」と恥じ入るばかりでした。お見舞いに行っては手を握って帰ってくるだけでした。
一昔なら患者さんが医者を拝む姿は結構見られておりましたし、そのような話も聞きました。しかし今は医者の権威も下がってきている?ようで、医者を神様のように思っている患者さんは少ないでしょう。また我々も(少なくとも私が信頼している医者は)「医者-患者関係は対等である」と思っています。
今は診療所勤務ですので患者さんの死に直接かかわることは少なくなりましたが、今まで身近におられた方が亡くなるのは辛いです。さぞかしご家族は辛い思いをされていることだと思います。おばちゃんは家族の方と平成15年の夏に北海道へ旅行されました。そのことを楽しそう話していただいたのが思い起こされます。
私が関わった方が亡くなった時はいつも反省です。
「もっと何かできたのでは?」と。
そしてしばらく経った後に浮かんでくる答えはいつも「これからは、これからも、毎日毎日できることを精一杯する」ということです。
おばあちゃんのご冥福を心よりお祈りいたします。