2006/08/16
8月のこの時期暑い日が続くと思い出すことがあります。
私は3年前の平成15年7月5日に開業しました。もちろん開業は初めてであり勤務医時代と違って自分ですべきことも多くありました。いろいろととまどうことばかりでした。
その開院してまもない平成15年の8月21日12:53に調剤薬局の方に連れられて若いご夫婦が来院されました。(昼12時を過ぎていたので「どこか診てくれる病院か診療所を探しに」調剤薬局へ尋ねに入ったとのことでした)
その日は昼から休診の日でした。受付事務員も看護師もすでに帰宅した後でクリニックには私一人が残っていただけでした。
患者さんはそのご夫婦のご主人さんでした。来院時は一人で歩くのも困難な様子で奥さんにささえられていました。
「しんどいです、吐き気が続いています」
と直ぐに診察ベッドに横になりました。診察しますと血圧は124/70mmHgと正常なのですが脈拍は43/minと遅くなっていました。
「朝食はコーヒーとパンを少しだけ食べました。昼食もあまり食べたくないです。尿はあまり出ていません」
とのこと。彼はケーキ職人であり、
「ケーキの勉強のために8月18日から神戸などの有名店でケーキを食べ歩いていました」
その8月21日は確か
「大阪狭山市へ行った帰りです。これから栃木県へ帰る予定です」
とのことでした。
暑い日が続いていたときに十分な休憩もなく無理をして移動し、熱心に勉強した(ケーキを食べ歩いた)ことが関与した「熱中症」と診断し、点滴治療を行いました。
点滴後は脈拍も正常に戻り自分一人で歩けるようになりました。クリニックからの帰りは奥さんのささえもなくご自分一人で地下鉄なかもず駅へ歩いて行かれました。仕事熱心な研究熱心なあまりのでき事であったのでしょう。
翌朝栃木の自宅へ電話をかけました。自宅に帰っておられました。
「夜行バスで帰宅しました。大丈夫でした。今、体調は良いです」
と電話の向こうで元気そうでした。
最初の診察時は重症な印象でしたので私自身“ホッ”としました。
(電話番号をきちんと聞いておいて良かったです)
旅行中奥さんは何ともなかった様子でした。奥さんはケーキばかりを食べていたわけではなく普通の食事をしていたのでしょう。それともやはり「女性は強い」ということでしょうか。
皆さん、夏の暑い日にはくれぐれも熱中症、日射病にはご注意くださいませ。