堺市北区の内科、循環器内科なら髙田内科クリニックです。

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治療目標と治療目標値

私はよく「病気に対する患者さんの治療目標と医師(私)の治療目標は一致しているだろうか?」と考えます。
一致しているのが一番いいのは確かです。
肺炎,扁桃腺炎,急性胃腸炎などの急性疾患の治療目標はおおむね一致しているでしょう。
「早く症状が改善して元通りの生活ができるようになること」です。
では治療が長期にわたる慢性疾患に関してはどうでしょうか?
治療目標は「健康な身体ですばらしい人生を送ること」だと思いますが,具体的な「治療目標値は?」となると医師-患者間で一致しないこともあります。
私の専門は内科・循環器で高血圧症の患者さんを多く診ています。
「高血圧症の治療目標は,高血圧に基づく合併症(脳卒中や脳梗塞などの脳疾患,心筋梗塞や狭心症などの心疾患,腎疾患,眼疾患など)を予防する」ことにあります。
血圧は多くの方で130/85mmHg未満を治療目標値として治療します。(年齢や糖尿病などで目標値は変わります)以前の降圧目標値に比べ最近はさらに低下しています。この降圧目標値は国内外を問わず数多くの医師の医学研究の結果から導き出された値です。
この目標値を示しますと「その値は自分には低すぎです.私は○○mmHgぐらいでいい」という方がおられます。
また「もうこれ以上薬は飲みたくありませんので私の降圧目標値は○○mmHgでいいです」といわれる方もおられます。
高血圧症の患者さんには自覚症が出ない方も多いですのでより強くそう思われるのかもしれません。またいろいろな思い・考えの患者さんがおられるのでそれはしかたがないことではあります。
診察中よく私は「高血圧症とその合併症は,タバコと肺癌との関係と同じです。ヘビースモーカーが必ず肺癌になるとは限りませんがタバコが肺癌の大きな原因であることは誰もが知っているところです。高血圧に関しても同じです。血圧が高い方がいろいろな合併症を引き起こしやすいのです。血圧を下げると言うことはその率を下げると言うことです」と説明します。
患者さんの考える治療目標値を医学的な治療目標値に近づけていただくには何度も説明して理解してもらうしかないと思っています。